昭和のカレーライス
アラガイs
神田神保町にある定食屋のメインはカレーライス
それが次第に香辛料が手に入らなくなって、
人々はその度唐辛子を増やしていた
あまりの辛さにある者は内蔵を壊し
またある者は舌を焼かれて
草を食みながら牛になっていった。
年号が平成へと移りゆく頃になれば
人々の味覚は頂点を極め、
神保町のカレーライスも
甘くて食べやすくなっていた。
亜麻色と疼くスイーツに、デコられたカレーライス
子供から、大人たちの食欲を誘発し、
人々は
お腹ばかりがふくらんでいった。
代々と続いていた店主が店を弟子に譲る頃
令和のカレーライスは世界中から食材をかき集め
中抜きから辛口は超劇/激辛へと
人々の好みもパラパラへと分かれていき、
ならば中味よりも大盛りの風味だと、
携帯に写り込む店先の足下は快活で、
実はこの店の初代が昔は巣鴨の憲兵さんだったという
そんなカレーライスの歴史は横にしても
人々の興味は震れる舌
曾てなき具の存在にそそられる。