契り
46U

貴方の吐息を犬歯で砕き 花の獣となる宵は
アンクレットに月を灯して 万の菫で鎖骨を飾る

指の戯れにはじける真珠 蜜の濃度の闇にひたされ
のばすかいながとらえたものは 原初の苑で失くしたたから

七夜睡れば素顔に還る 獣の季節にたちかえる
まなを瞑ればくるめくうつつ 真夜中の陽に侵されて
無二の貴方に祈りを捧げ 誠つくして咲く造花
骨に刻んだ名前を秘めて 「遊び」と騙ってくちづける

貴方の背中に翼をさがし 「もいであげる」と吹く夜には
ブレスレットを手枷とさだめ 千の契りと久遠を封ず

無比の戯れに砕ける心 いつも外套の奥に隠して
閉ざす刃は誉れか忌みか 皮膚を切り裂く貴方の朱唇。


自由詩 契り Copyright 46U 2024-11-21 15:12:14
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