君が代
栗栖真理亜
締め付けんばかりの痛みが頭のなかを奔り抜け
途切れ途切れに聞こえる
微かな君が代の旋律
振り払おうと顔をしかめ
やっと頭の外へと追い払う
痛みはさらに増して脳味噌ごと圧迫するようだ
いつの間にか私は昔に還っていた
砂埃の舞う広いグラウンド
容赦なく児童の頭の天辺を直撃する鋭い矢のような日差し
私たちは人形のように整列させられ
一番前に置かれた金属の台に立つ校長に
操られるまま無意識に口を開けさせられている
一番前に整列させられた私が
校長や他の教師の目を盗んで目線を高く上げれば
校舎の屋上ではためく日の丸の旗
もはやどこにも逃げられない
ますます君が代は襲いかかる蜂のように群がり
私の頭の中に入り込んでくる
私は寝具に体を沈め
きつく瞼を閉じたまま深い闇へと堕ちていった