ナナカマド
ただのみきや

実としずくは出会い
抱擁し
いま互いを手放した

実は朱く燃え
しずくは銀光を放ち
確かに交じり合い
なにかを残し
なにもかも忘れ

雨はみぞれに変わり
鼻孔に冬が立つ

もうじきツグミやレンジャクが訪れて
熟した陽の味
啄んで
色も形も
食んでは食んで

弛み締まる白紙の荒野
喀血 散弾 喀血
鈴は散り
いのちは鳴らず

幼女の髪を飾ることもなく
完熟し
ただ落ちる夢


                   (2024年11月17日)








自由詩 ナナカマド Copyright ただのみきや 2024-11-20 17:31:39
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