秋のうた
秋葉竹
毎日感じていることは
私は生かされているんだなぁ
ということとか
息をしていることを
意識してすることはほぼないが
意識して考えてみると
いまここに生きていることの
あたりまえではない幸福を
噛みしめることになるとか
この秋は
涼しくなるのがすこし遅かったが
やはり来てしまえば
朝晩は冷える
身が引き締まる季節だとか
特別なやさしい物語がなくても
それなりに生きてゆけるものなんだ
眠りにも似た甘い夢がなくても
それなりに生きてゆけるものなんだ
心に染みついた古びた血痕が
いつまでも痛む想い出を
忘れさせてくれないとか
それを持たないひとなどいない
という密かな共犯者を
勝手に作り上げて私は歩くのだとか
毎日感じていることは
私はそれでも生かされているんだなぁ
ということ