女よ
リリー

 風が散っていった
 ウイスキーの琥珀に酔った天地に

 男と女が愛し合い
 いつの日か又
 他人の様にそっけなく
 だが にこやかにすれ違う
 それが何なのだろう

 ふと逢った人に心ときめかし
 生々しい笑いの影をとどめる
 おまえ
 湿った口づけの悲しさを残さない
 おまえ
 果物のような唇だと言った男の髪をなでながら
 (あたしの心臓はどうして踊らないのかしら?)
 瞳をこらす
 おまえ

 嘆かなくとも良い
 夜のかたちの揺れるままに
 身をまかせ
 両の乳房は柘榴の様に赤い実となり
 散っていく凍った風の鋭い欠片がつき刺さる

 女よ、
 あかく滲んだ胸をひたと抱きしめ
 いま
 琥珀のグラスをかかげよう
 
 


自由詩 女よ Copyright リリー 2024-11-13 19:52:14
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