地獄の使徒
栗栖真理亜
晴れ渡る空に茶色い靄がかかり
澄んだ蒼が穢く濁る空気はまるで
突き刺さるかのように喉を刺激し
噎せかえる異物感と圧迫感に思わず咳き込む
瞳の奥は砂と化合物で詰まり
止めどなく溢れる涙すら
それらを押し流す術を持たない
あぁ、まさに硫黄の空に彩られた世界
降り注ぐ雨水は冷たく人も車も汚してゆく
こうして天は怒りを顕にして
人類を絶望に追い込んでゆくのか
人間が飽くなき業を抱え
抑えきれぬ欲望に対して忠実に生きる限り
神からの罰としての禍は
繰り返し我々を傷みつけるだろう
そこにいる誰一人をもが
最も重い人の罪に気付かぬならば
永遠に視続けるだろう
苦しみ喘ぐ地獄絵図を