雲と金魚
秋葉竹


 

やさしい世界のそとで
ひとつの雲が青空に浮かぶ

その雲に向かって
泳ぐ金魚の色は黒い

悲しげな陽射しがいつまでも綺麗で
僕は首が痛くなっても雲を眺めていた

青空を泳ぐ金魚はあの雲を
なにと想っているのだろう

バルコニーには色とりどりの
洗濯物が干してある

さわやかな風が
乾きかけのホワイトシャツを揺らす

このやさしい世界のなかで
僕たちは生まれて死んでゆく

やさしい世界のそとで
ひとつの雲が青空に浮かぶ

やがてたどり着くと黒い金魚は
あの雲をどうしようというのだろう

悲しげな陽射しがいつまでも綺麗で
僕は首が痛くなっても金魚を眺めていた








自由詩 雲と金魚 Copyright 秋葉竹 2024-11-10 08:00:38
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