雲と金魚
秋葉竹
やさしい世界のそとで
ひとつの雲が青空に浮かぶ
その雲に向かって
泳ぐ金魚の色は黒い
悲しげな陽射しがいつまでも綺麗で
僕は首が痛くなっても雲を眺めていた
青空を泳ぐ金魚はあの雲を
なにと想っているのだろう
バルコニーには色とりどりの
洗濯物が干してある
さわやかな風が
乾きかけのホワイトシャツを揺らす
このやさしい世界のなかで
僕たちは生まれて死んでゆく
やさしい世界のそとで
ひとつの雲が青空に浮かぶ
やがてたどり着くと黒い金魚は
あの雲をどうしようというのだろう
悲しげな陽射しがいつまでも綺麗で
僕は首が痛くなっても金魚を眺めていた