感情を失っていた
りつ
あれは六月くらいのこと
あなたが台所で包丁を握ったのを知っている
不思議と怖くはなかった
しばらく耳を澄ませていると
包丁を仕舞う音がして
バタンと戸を閉じた
| 出来ないか… |
ほっとしたわけでも
殺して欲しかったわけでもない
ただ、能面をつけたような自分がそこにいた
あなたが死にたかったのか
私を殺したかったのか
今でも分からない
自由詩
感情を失っていた
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りつ
2024-11-10 07:16:05
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