The Morning of the Neon Demon Ⅱ
おまる
記憶は残酷
記憶は あいまい
ついこないだのことも
もう遠い日の出来事
低い声の鳥が枯木の上で囀っている
あんなに立派な樹木でも
さいごは枯死してしまう
むなしく心を費やして些事にこだわるな
かえりみるに及ばない
空は雲ひとつなく
太陽がアスファルトに照りつけていた
足元に干からびた虫......
土に還ることもできないでいる
どこへ行こうとも
その行き先の向こうにある
デオドラントされた都会の不自然なしるし
了見が狭いことだけが取りえで
何もかも棄ててきた
不満なんて何もないけれど
幾月
幾年も
まるで子供のように
いつも小さなことにこだわっている
若いっていいよな
お前みたいなバカが
赦されるのだからと
先生に言われた
さすが年よりは人を見る目があるね......
思い出はいつも
燃えるような
あるいは凍えるような
気持ちに充ちている
心に残る言葉や表情
虚構の街
思い出の街