ドボルザーク 母から教え給いし歌より
レタス
そう きみと二人
菜の花畑の向こうに碧い海を眺めたね
遠く水平線には洋紅色の貨物船が浮かんでいた
固く手を握りしめ
明日の行方を占った
きみの華奢な肩を抱きしめながら
ぼくは青い涙を流し
母が教えてくれた歌をうたった
あれからどのくらい経ったのだろう
きみの純潔は今も変わらず
ぼくは世間の濁流に揉まれ
灰色の仮面を被り続け
涙を流すことは無くなった
もうすぐ季節は冬を迎える
ぼくの凍った腕はきみを抱きしめる力を失った
さめざめと泣くきみにぼくは仮面を脱ぐ
きっと新しい世界が見えるだろう
春が来る前に