ふしあな
夏井椋也
ふしあなから
花と人の裏腹を
垣間見る
ふしあなから
空と嘘の寸劇を
盗み見る
ふしあなだから
肝心なものは
何も見えない
ふしあななんだから
見えていると言う
あなたはペテン師
見えない
見えない
けれどなんとなく
分かってくる頃
気がつく
自分そのものが
世界に空いた
無数のふしあなの
ひとつだということを
わたしの中を
吹き抜けていく
時間と記憶
しがらみとお陰様
やがて
ふしあなのわたしが閉じても
世界は相変わらずの
満天のふしあな
誰が星座になれるって?
自由詩
ふしあな
Copyright
夏井椋也
2024-11-02 16:18:52