聖杯のうた
ひだかたけし
優しくふんわり膨らみ真ん丸になりかけのお月様、
今宵も宙空に銀白の輝き放ち在りて
あゝこれは正に
この途からはぐれ呪われ茫然と
迷い世界を売り争い合う人の世を
照らし暴き出すこと無く
只ひたすらに見守り続けて
自らの膝元に包み込み
より自由な意識へと
解き放たれんとする
人の苦難の営みを
やはらかな
その光の内に
一時一時担いながら
今宵も宙空に銀白に輝き放ち在りて
真ん丸になりかけふんわり優しく太りつつ
円弧の未だ暗闇から流れ出す真っ赤に澄んだ涙を受けて
絶えず絶えず受け入れ続けて安らぎを与えるお月様、
貴女は 、