『ご報告』( atsuchan69)への感想
室町 礼

短編推理小説を読むような手に汗握る展開だった。
秀逸なドラマだ。
とくに「えっ!?」と思わず声をあげそうになっ
たのは「ロン毛ネズミ男」の正体が「天才詩人2」
であったらしいことを知ったときの驚きである。
絶句すると同時に腹を抱えた。
「ロン毛ネズミ男」とは──いったいだれが名づ
けたのかしらないが──まさに言えてる!

「ロン毛ネズミ男」のリアリティは映像をみた者
にしかわからない。
この人物は肩まで伸びた、さらにヘソあたりまで
垂れ下がっている、手入れの行き届いた光沢すら
ある黒髪を、さも相手に見せびらかし、愛撫する
ように延々と撫でまわすのだ。数秒とて
その手はとまらずに髪をまさぐり、こすり、とき
に掴み、握りしめながら、うっとりと──感触を
愉しむようにいじりまわし正面を無表情に見そえ
て喋るのである。
この執拗な手癖が小一時間ばかり続いたあと「ロ
ン毛ネズミ男」は「タバコが吸いたい」といって
やにわに立ち上がる。どこへいくのかと思えば地
下へ降りてゆく。かなり時間をかけて闇と光が半
分づつ交差するような暗い部屋のソファに腰掛け
ると、まるで大切なものを扱うように巻きたばこ
のようなものをゴソゴソと取り出し、それに火を
つけて煙を吐き出した。まさに恍惚、うっとりと
した表情である。
オーストラリアから送られてきたスカイプ?の映
像だったのでついうっかり「マリファナ?」とコ
メントしたら、だれか側近のような御仁が何日も
たってから、当該コメントを罵倒し、必死で否定
していた。「代表をおとしめるような奴がいる!
 マリファナではない!」それでわたしは目をつ
けられたのだろうか。オーストラリアの首都キャ
ンベラでは大麻は娯楽用として合法化されている。
しかしオーストラリア政府としては大麻を禁止し
ているので国家と州とのあいだに法律の捻れ現象
が続いている。とはいえ合法地で大麻を吸うのな
ら何の問題もない。否定することもなかろうに。
(オーストラリアといってもそこが首都キャンベ
ラかどうか知らないし、また、大麻じゃないと
いうのならそうなのだろうけど、だれにでもそれ
らしく映る紛らわしい演出をしたのはよくないと
思う)

わたしは(多分)この「ロン毛ネズミ男」の映像
を十年ほど前にも見たことがある。
ネズミ男は泣いていた。この男はまだ青年になっ
たばかりで純情だった。
文学極道の新しい選考委員グループの一人になっ
たばかりだったが2ちゃんねるでさんざん酷評さ
れたのである。自分へのゆえなき罵倒コメントを
読んで泣いたのだが、この泣きぶりが半端ではな
かった。まるで世界が器ごとひっくり返ったよう
な泣き方で、滂沱のごとく涙を流し、時々、しゃ
くりあげていた。わたしはその泣き方の見栄も外
聞もない凄まじさにむしろ尊敬すら覚えた。わた
しなどは2ちゃんで罵倒されても、他の方もそう
だろうけど、2ちゃん特有の挨拶程度にしか感じ
ない。ところが純情無垢な青年はそうではなかっ
た。
もうこいつ自殺するのじゃないかと心配するほど
顔をくしゃくしゃにしてわんわん泣いているので
ある。実際、子どものような精神の若者を文学極
道の選考委員にして果たして詩への練熟した指南
力や眼力があるのか疑わしくなったものだが、か
れは、その映像を正面から撮ってわざわざ公開し
たのである。
見てろ、おれを馬鹿にしたおまえら、今に必ず文
学極道をぶんどっておまえらみんな追い出してや
る!
そんなことを口走っていた。......と、記憶して
いる。
文極が終わり、ビーレビが誕生して乗っ取られ?
わけのわからないゴタゴタ(好きなんだよなあ、
わたしはこういうゴタゴタが)のあと、ついにネ
ズミ男の巌窟王が姿を現したのか。そうだとすれ
ばたいへん面白いドラマだ。
そこで、ですね。推理の続きとして「リンダ」と
かいう女性?の正体にも迫りたい(だいたい目
星がついている。「ネズミ男」らが集うカフェで
短パンを履いてちょと太ももを出し、お色気でネ
ズミ男らを魅惑しながら歩き、詩の朗読をしてい
た女性がいた。子豚ちゃんのようにやや太って美
人とはいい難いがネズミ男らのアイドルのようで
あった)ので、久しぶりにビーレビで調べようと
したら、な、なんとわたしに対してはページごと
閲覧拒否をしていたのである! 何ンにも見られ
ない。そんなに隠すことないのに。恥ずかしいの
だろうか。.....残念ですがまた機会があればこ
の続きを書きたいと思います。
「ネズミ男」の次は「しろぶたリンダちゃん」の
巻かな。
それにしてもatsuchan69さんのような新鮮な世
界観と大胆な筆使いの書き手を追い出してどう
するのか、
復讐のためになんとか果実という御仁と手をと
りあってサイトを乗っ取ったのか? わたしに
は十年前のかれの悔し涙がここに結実しているの
だとすれば残念である。
ネズミ男よ! いますぐサイトをatsuchan69さ
んに明け渡しなさい。恨みつらみでサイトをつづ
けてもいいことなんかない。



散文(批評随筆小説等) 『ご報告』( atsuchan69)への感想 Copyright 室町 礼 2024-10-16 12:06:24
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