哀しみの自称詩人
花形新次
自称詩人が泣いている
僕は自称詩人だと
泣いている
自称詩人ではない何かに
なりたいと思っても
いつまでも自称詩人でしか
あり得ないことを
お父さんのせいにも
お母さんのせいにも
社会のせいにも出来ないで
泣いている
神様には自称詩人であることを
包み隠さず
「こんな僕でも生きていて良いですか?」
と赦しを乞うているが
答えはいつも風の中だ
ただ抗うつ剤と睡眠導入剤と
アルコールを一緒に飲んで
一時だけ自称詩人の自分を忘れてみるが
目が覚めると
やっぱり自称詩人のまま
泣いている
自称詩人が泣いている
自称詩人が哀しいと
泣いている
お金がないと
泣いている
彼女が出来ないと
泣いている
自称詩人が泣いている