我慢知らず大国ニッポン
鏡文志
命が惜しいと老人は若者に、我慢を強いる
生徒は学校で教師の言うことを聞けず
夏は暑いからと過度にエアコンに頼る
お金が欲しいと子供達は、YOUTUBEに顔を出し
難しいことは考えたくないと、人々は安易な羅針盤にしがみつく
昼食は顔も見合わせず皆で、携帯をピコピコ
「愛している。今直ぐ来て欲しい」
と彼女が言ったから
返信すればお金を一千万円騙し取られた
ゲームが欲しいとお兄ちゃんは部屋から一歩も出ずに
弟はたった一人孤独で打ちひしがられる
糞尿の後始末を出来ない障害者の利用者はスタッフに可愛がられ
我慢する人間ほど束縛と損を強いられる
『批判と悪口』の区別がつかない管理人に『大衆と庶民』の違いが分からない両親の愚痴を呟く
「コロナワクチンで沢山の人が死んでいる」
と、公共の電波が公式に放送しても
人々が振り翳したい言論の自由は『今日食べた昼食のランチの感想』と『同じ職場にいる人間への不満』
コンサートに行かなくてもなんでも見れるし、聴けるから
舞台やステージ衣装に関わる人が職を失っても知ったことではなく
雨が降り雷が鳴っても天からの怒りと自らを顧みることはなく
TVSNS情報で叩きやすい人間が出てくると、正気を失ったように騒ぎ立て怒り
働いて飯が食える自らの幸福には思い至らない
遊園地へ行けば若者達が恋愛に浮かれ
特大のコーラとコンドームが、設置された公共トイレのゴミ箱に捨てられる
「戦争へ行きたくないから、平和がいい」
と人々は言うけれど
いざ危機が迫れば、平和の誓いも直ぐにかなぐり捨てるであろう