はじめての メール
砂木

なんで ひとりでこなかったんですか

と 会社の玄関からでてきた 年上の男性に
詰め寄ったのは 十八の頃

告白しようと やっとかけた電話で
呼び出して 出かけた友達が
相手は 友人と一緒で
告白できなかったと しょげて帰ってきたので

ちょうど むかついてた私と
おそらく 軽い気持で誘いに乗った その人が
ばったり 会ったのだった

ずっと どうしようかと
迷い続ける彼女に
告白したらと 知ったかぶって すすめた私である
自然と 責めてしまっていた

上京して寮に入り 働き始めたばかりで
同じ年頃の子達と 共に暮らすのは
よい事ばかりではなかったが
毎日 一緒に ご飯を食べたり 相談したり

知らず知らずに情が移り
友達側からしか みられなかった

いきなり責められたその男性は 静かに そのまま行き
あとで 聞いてみた所 あんな子もいると
受け流してくれたらしい
悪かった と思ったのは その時

思い続けた彼女は その男性と結婚し 子を持ち
転勤族の夫と共に生き
東北 関東 今は 九州で暮らしている

パソコンを覚えたという彼女のメールがつき
元気そうな暮らしぶりを知り
まったくあなたというひとは 

今は夫となった
あの男性がほんとに すきだったのねと
今更ながらに 思い返し

責められて困りきった表情で
まごついてた 男性に

だから言ったでしょ と
また 懲りずに いいたくなる
嬉しい メール であった






自由詩 はじめての メール Copyright 砂木 2005-05-22 07:16:55
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