火の花
soft_machine

今そのちいさな胸に打ちあがる
いっぱつが いっぱつが
導いている 空を
あちらが会場 ここがわたしんちの台所の窓
夏だから あがって見ましょうよ

それから黒いにおいをはこぶ風に くちびるよじり
みんなで手に手をとりあい
ひらいて受けとめる
どく、どく、と 跳ねる背をなぜる
熱と光がおしよせるのにもたえ

子ども好きな花火のつくり方に決まりなどなくて
あとには何ものこさない
最後に かるくこつんする

お腹のおくをおくれてけられるような
目だまがふくらんであわになるような
のどがはり裂け
ぱらり、するり どんという間にさっと消えた

お祭りにはよく焼けた灰がないとちがう
煙の群にしみこむ声と影
とじたまぶたは嘘のまぼろしをすこしづつ忘れ
しゅる、しゅる 壊れてゆく音に

めらめら燃える夜の小屋
みんなも わたしごとそうなれ





自由詩 火の花 Copyright soft_machine 2024-08-21 15:57:05
notebook Home 戻る