晩夏の鐘
本田憲嵩
お盆を過ぎると、
いつも風が少し涼しくなるのは、
多くの死者たちが来訪していた、
その磁場の名残なのか、
死んだカブト虫たちを裏庭の暗い土に埋めて、
その上にできるだけ細長い小石を立ててゆく、
手の平と手の平を合わせながら、
精いっぱいに目を塞いで、
子供なりに慇懃に祈っている、
弔い、
のまねごと、
おばあちゃんの部屋の窓にぶら下げられた、
水色のガラス製の風鈴が、
チリリン、と、
いささか季節外れとなってしまった、
そのとても涼しい鐘の音を丁度よく鳴り響かせている、
自由詩
晩夏の鐘
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本田憲嵩
2024-08-20 21:43:40
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