あっちむいてほい
凪目

まくらを持ってる
すべての音を吸い込むまくら
まくらとどこへでも行く
市場、裏道、廃ビル
寂しいとき抱きしめると暖かい
まくらが泣いてるときはぼくが撫でてあげる
それで朝まで抱きしめ続ける
まくらはすごくかわいい
すごくすごくかわいい
腹を刺されても
ぼくは血を見るのがおもしろい
どうして泣いてるの?
わからないから
ぼくにもわからないよ
なにかたずねてみたら
そしたらちがうって返ってきたり
そうって返ってきたりする
ぜんぶまちがいだったら?
ぜんぶまちがいでなにか困るの?
その次は?
交代して、きみがちがうって言ったり
そうって言ったりする
なにそれ
わからないよ
喉が痛い
船酔いしそうだ
もうねむろうよ
今日も寝床にありつけるといいね


自由詩 あっちむいてほい Copyright 凪目 2024-08-14 22:09:27
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