蚊
soft_machine
調律は? A
ほんとに翔べる? ちゃんと高く
そこは正統 だからたぶん
翅が乾くと 生きていられたら
そうね、夢から覚めたら 脱ぎおわるよ
よかった 言い伝え通りで そら
風だ、風 水を離れた
Aがおこす波
旅の始まりと
やっと終われる 景色が 百個ほど見えて
パチパチ 潰れた
たぶん 美味しい目玉のスープ
中国人には感謝しないといけないね
ぴったり粒を揃えてくれたユンさん
そしてその娘たち
無重量の粘りに真っ赤なお腹をあてた
七枚のくちびる 母さんに溶け
動けなくなる夜 夏の火 お祭り
稲光に照らされ
卵の皮をゆっくり破ると
そこは花咲く水面
すぐいきるだけ
なのに ちょっと切ない
こんな 重たい泡 潜る
息してからだ 明るい方にくねらせて
まなんだよ 唄も よろこびも
さなぎの中で
私がどれだけ大きかったか 分かるかな
たしか 月といっしょに白くはがされ
地球はどんどんちっぽけに
海には一度もなれず
ただ吸っては濃いめられ とび散る度にあつめられ
熱の糸をたぐると くらい穴に着く
耳や鼻や唇に
彼らのたてる心地よいしんどうが好き
私がどれほど好きかも知らないで
裸でからみあう時も
かけっぱなしのブルースが好き
ユンさん特製のナイフでなにも残さずとり外されて
ひとつに重なる
神経が青い 光って
これで私の ふたたびの終わり
調律は? いつものA 痛くない
近けばシャープ
それは誰? うん、Gフラット
この瞬間 叩き潰されたとしても
きっと娘だったのだ
一度くらい絶品と云われて果てたい