二十七
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近所の子らの手をひいて
人いきれのする方へ お提灯かき分け
夏の夜がひろがる空で
花を散らせる 長い指さき 見ていた
二十七歳の私

ルリカケスの羽根 織り敷いた
天の川から眺めるこの町は
灰の渦にまかれ 星の流れとはほど遠い空で
誰にも気づかれず
指を絡めあうふたり
二十七歳の私

散り終えた花びらを闇に溶かす
風が短冊と笹の葉を持ち上げると
少女の髪飾りをくるくる回す
あまい香りが皆を走らせ
そっちへ行ってはあぶないよ、と
笑っていた
そう、確かに笑っていた
二十七歳の私

近所の子らを寝かしつけ
服の破れを繕い
掻き傷に軟膏をすり込む
月の横顔を遥かに眺める
きみがいなくなる もうすぐ
明日が今日になる もうすぐ





自由詩 二十七 Copyright soft_machine 2024-07-06 12:57:34
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