二十七
soft_machine
近所の子らの手をひいて
人いきれのする方へ お提灯かき分け
夏の夜がひろがる空で
花を散らせる 長い指さき 見ていた
二十七歳の私
ルリカケスの羽根 織り敷いた
天の川から眺めるこの町は
灰の渦にまかれ 星の流れとはほど遠い空で
誰にも気づかれず
指を絡めあうふたり
二十七歳の私
散り終えた花びらを闇に溶かす
風が短冊と笹の葉を持ち上げると
少女の髪飾りをくるくる回す
あまい香りが皆を走らせ
そっちへ行ってはあぶないよ、と
笑っていた
そう、確かに笑っていた
二十七歳の私
近所の子らを寝かしつけ
服の破れを繕い
掻き傷に軟膏をすり込む
月の横顔を遥かに眺める
きみがいなくなる もうすぐ
明日が今日になる もうすぐ