赤い髪
リリー

 昔 暗い電柱の蔭に
 鮮やかな口紅を咲かせていた女と
 細くしまった腰をもった男との
 悲しい抱擁を見た時
 思わず浮かび出た詩は
 美しかったけれど

 月が厳しい弧を描く
 夏の浜辺
 波の響きに惹き込まれていく
 女の歌声はハスキーヴォイス
 潮風になびく赤い髪が
 闇に溶けて
 全て虚しくする瞬間を知った時、

 掌に激しい光を放つ
 この愛をどうする?
 時に私を打ち倒し
 時に私を喜びに震わせる
 この光をどうする?

 思い出という甘い世界の中で
 再び私をめぐり始めた恋
 でも あなたが傍に居ないので
 光は天に昇りかねている
 ただの幻覚であったのかも知れないと
 
 
 
 
 
 
 


自由詩 赤い髪 Copyright リリー 2024-07-05 11:10:02
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