帰り路
レタス

新聞配達の帰り路
商店街の本屋で立ち読みをして
店主がハタキでぼくを追い払おうとした
芥川龍之介の短編を三作読んだので
もういいかと…
店主は咳払いをした

糸杉の生垣が植わっている坂道の家から
それは多分ブリの照り焼きだろう
美味しそうな匂いがした

友達のキーちゃんの家からは
カレーの匂いがしてお腹が鳴った

ぼくの家に着いた時には何の匂いもしなかった

お膳に着くと今夜はメンチカツとコロッケだった
肉のマスダのフライはとても美味しい

あの頃のぼくの舌は何でも美味しく感じられたんだ

今夜は具だくさんの冷やし中華だった
もうそんな時節になったんだね







自由詩 帰り路 Copyright レタス 2024-06-12 21:08:18
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