帰り路
レタス
新聞配達の帰り路
商店街の本屋で立ち読みをして
店主がハタキでぼくを追い払おうとした
芥川龍之介の短編を三作読んだので
もういいかと…
店主は咳払いをした
糸杉の生垣が植わっている坂道の家から
それは多分ブリの照り焼きだろう
美味しそうな匂いがした
友達のキーちゃんの家からは
カレーの匂いがしてお腹が鳴った
ぼくの家に着いた時には何の匂いもしなかった
お膳に着くと今夜はメンチカツとコロッケだった
肉のマスダのフライはとても美味しい
あの頃のぼくの舌は何でも美味しく感じられたんだ
今夜は具だくさんの冷やし中華だった
もうそんな時節になったんだね