crackの踵、鎮座するうららかな痺れ
あらい
たとえば手摺と鍵、或いは爪を噛む白い手が、古雑誌の栞の意味を摘む、この誰かの肉声は(あわくって。)ならそれで適当な木目地を愛で謎るだけで、高い空を遠い道程を走りまわる短い風だ。
Sonosheetに熨せた旅愁のひとつだ。
聴いたか? 手がかりひとつなく途方もなくナマイキな口を叩く脆そうな開花に。いまを染上げる落陽は秒のひとつもパッと膨らんだとして、またぽっかりとあいた水辺として、ぱしゃんとほとばしり、ひそやかに手放すまえにある
――ああ、いまにして瞳は観覧車を 足取りは終列車よぅ
切り揃えられた静謐に絡みついた夜に、苹果は体を丸め自虐の砂礫にごぅと削ぎ落とす、燃え上がって。慎ましく多すぎる修辞に、一点の設問の夏日にくちびるがぽつりぽつりと尋ね回る、おぼろげな引き潮は歪んでみえるけれども、温厚な弦と痛烈な弓をつきあわせるばかりの、浅ましく疼く誰かと激しい動機を平穏にカケハギ、無音のなか古いオンナのおむつをかえる仕種よ。
まったく(あちらからおしよせるチェンバロの この手の洪水だぁ)脅しているのではないか、といくつかのあなたもこの眩暈のなかで、すり混ぜたように己自身と心中する
けれどもね。折り曲げられた仏頂面は貪欲に北風に逆らって、このラブラドライトの杜として 分解する月や太陽の もうすこし、もうすこし (睫毛が濡れている、)側面はもっと、最も「奇っ怪なこと、といったら重ねるように。」おかしいったら ありゃしないのよ
たとえば臍に沿う。露わ。座礁した無類の息吹が桟橋を亘れば、ていだらぽっちの立て爪も陶の花のブローチも、「もうこえもとどかないだろうがねえ。」降って湧いた血がごうごうと唸りながら、どっと握拳に雑り 求めていたもんは、札を欲しがる白虎の子の、経過なり ひかりだったのかなと。うすぼんやりと上まぶたに貼り付ける髭と頬と、それから、緩んだ……
〈かれはでも――燦々と泣いてしまえば。〉
過去のワタシも、未来のキミも16の娘も土壌も父も大海原も桜の樹の下で、
(その狸かい、鸚鵡かい?)まあ すげて、〝でも こたえもない けれどもね〟
わしゃわしゃしているだろう この空っぽなアタマで、骨が溶けてしまいそな 乾季のお天道様だってよ。翠雨の平行線を波々と蹴散らしていく 酸味ばかりの。痛みを賭した、やわらかなよみがえりの通信記録を 焚き点けている、この生きた証よ。
糸を引く斜光が若葉と戦いでいる気がする。ふらついた肩口だけ煙霧に逃げ延びていった。白樺の根に蔦が絡まり小言を窘めるような暮らしぶりを便りに認めては、はめ込まれた生活からはなにも生まれやしないものだから、彫り進んではなにもかも、餓えて死ぬまでが逢瀬みたいなものだと靴を揃えて、老いた者だ
名も知らぬ花が咲き実を結び、とおくながく眺めていた
水銀の陽炎が塗り替えた真空に、退けられた潮騒と
ほんのりとした墨絵の、苦々しい微熱の行方、融け合った結果論だよ
『自然とは やけに腥く美しく、落葉と 共に。
(著:この駄馬の黄ばんだ歯は)』
~隅々まで汚染された殻を。
ランプの火を、花緑青にて締め付けられる~
ドタバタとした調声輝音をいただく。口元のそこは人懐こく
くぐもった熱に浮かされるよう、愛想尽かした どぎつい花を。
時間停止の余波に繋いでみせる/朧な細月とばったり(一息、)
むきだしの鉛の氾濫で、あれは孤島へのトビラ(と馴染み。)
帯という琴の場だ。綺羅びやかなやまひだの甘い悔恨に乾いたほつれみを いっぱい 氾濫させた、あさかぜの 気晴らしの時代。ともふかく毒々しい万華鏡を覗く かのように。虚像の天変で、(ポケットから色褪せた写真が朽ちる。)あんたがたの後日なんぞ 知りゃしないがね/わたしたちはまだまだ まばらな剥製に蓋をするのさ