自由詩
rabbitfighter

揺れるドビュッシー
無調の色彩
そこらじゅうを飛び回る羽の生えた妖精
揺れる吊り革をくぐり抜けていく
乗客たちは地下鉄の窓の外の景色に夢中で
誰も気づかない

都営住宅の秘密の扉を開くと
直接隅田川の川岸に出ることができる
そのことに気づいたのは屋形船の船上からだった
その扉はねずみ色のスチール製で
網ガラスののぞき窓が付いている
すべての秘密の扉がそうであるように

等間隔に並んだパイロンの並木道に
LEDの電飾
日本の道100選に
あと少しで
届きそうで
届かない

あなたは耳を塞ぐべきではない
あなたは目を閉じるべきではない

どこにいても
必ず音楽は流れている

真夜中には
誰かがどこかで
月の光に耳を傾ける


自由詩 自由詩 Copyright rabbitfighter 2024-05-04 19:48:29
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