くさむら
山人
押し合いへし合いしながら草たちは身を寄せ合い
朝露に濡れている
草たちに理念は無く、希望を持つことはない
さりとて、ただ生きるという達観さもなく
ひときわ朝の空間とその温度感を楽しんでいる
誰かれなく、それぞれに名も持たず
シュールでスマートに
すばしこいスピードで生き急ぐ
彼ら一個人に、とくに意味もなく
草という概念だけで暮らし
小さな虫とともに
死というものに恐れをなすことがない
早朝の草草はひっそりと
私の小便を待っていた
自由詩
くさむら
Copyright
山人
2024-05-04 06:57:54
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