黄砂の朝に
山人

耳をすませたことがある
遠い宇宙のささやきだった気がして
ふと星々が混雑した夜空は
まるでにぎやかな物の怪のいない屋台村のようで
深々と夜はふけ
いたずらに星々はふるえていた

家の傍には
消え入るつぶやきのような小川があって
そこに湧きおどるように舞う
ゲンジボタル達が居た
子供たちは哀しみの涙袋をぶら下げて
それでも意味もなく跳ねて
笑いあった

流れに沿って歩くでもなく
川を渡りとどまり
大石を超えては怒号し失意した
ひしゃげた月にぶら下がり
帰ってこない
時の流れる川だった


自由詩 黄砂の朝に Copyright 山人 2024-03-30 07:37:42縦
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