石化びと
本田憲嵩


打ちあげられたように、青白いシーツの砂浜の上で晒されている。まどろみ。おだやかな白い波に晒されながら、そよと吹く風に晒されながら、あるいは無数にきらめく石英質の砂塵に晒されながら。そして、その上空でつねに見張っている、無数にきらめく星星の光に晒されながら。まるで哺乳類かなにかのように横たわっている。そんなふうに風化してゆく化石になる夢を見る。そんな夜々を繰りかえしてゆくうちに、やがて本物の骨の化石に極めて近づいている。青白いシーツの砂浜に打ちあげられて、まだ生きている化石。




自由詩 石化びと Copyright 本田憲嵩 2024-04-25 22:02:29
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