ほしがること
凍湖(とおこ)

ほしがることがむずかしい
いろいろほしいものがあるのに
舌が糊で貼りついたように
口蓋にくっついて声にできない

夢を語るだけならお金はかからないけど
そこかしこにある断裂によって
わたしは押しつぶされてミンチになって
ひとり以下のバラバラになる
砕けた陶器の心ではほしがることがむずかしい
そのまえに自分を集めなきゃならないから
かけらを拾う手のひらは傷だらけ

ほしいものはたくさんあるけれど
声にしたいことはただひとつ
人生がほしい
それだけなのに


自由詩 ほしがること Copyright 凍湖(とおこ) 2024-03-30 00:46:43
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