A・Hへ
soft_machine

血液型のようなイニシャル
同じ時間を笑ったしあわせ

同じ夕日を 眺めた焼却炉の傍で
一番星を ヴィナスを指さして
雨の廊下を渡る時
図書室の扉を開く時
好きな娘に見られながら
私が部室で頬を張られていた時
君は公園でジイドを読んでいる

その名 アッハ、と呼んでみる
ダメな留年生へ 固い笑顔のタメ口で
話しかけてくれたね 親友

雪の降る日 彼は三十を待たず
骨と皮ばかりになり
冷たい息を吐き終えた
夜の電話には
その予感があった

どう応えていれば帰れたのだろう
運命のニートやめるんだ、って
もう親には苦労かけない、って
笑って逝けたら
それは天に対する ひとつの勝利





自由詩 A・Hへ Copyright soft_machine 2024-03-24 12:03:09
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