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日々野いずる

あなたたちは
何処にいても何してても
居場所を探す
中心は生きているけど
沿岸が死んでいる
人が暮らしている姿を
美しいって
評価して評価されて
人の中でだけ生きる
目が死んでいるんじゃないか

木が森が海と鳥が
空高く飛んで梢に止まる
空の斑な移りかわり
詞のない宇宙が
満足する鼓動の
音だ
脚に響く振動
何もないような
何かあるような
なんでもないなんでもない
音と色だけが支配している
夢見心地が覚める

人間でしかいられない
こんなに人が嫌いなのに
人間に嫌われたくない
自分が嫌いな人
君たちのことだ
普通の標準に紛れて
紛れようと頑張る
私たちのことだ
居場所がないから
何処かに行こうと頑張る
私たちのことだ
どこにも理想がない
どうして此処に理想がないか
一回考えた方がいい

人間が美しい瞬間の
美しいと思う傲慢さ
赦しと嫌悪の間で揺れて
梢が鳴いている
抱擁する命が
息絶える瞬間も
産まれる瞬間も
平等に美しく平等に醜い
人間を離れて空中に浮べば
根無し草の無責任で
何とでも言える
美しくて醜い人間を
愛しているし憎んでいるし
自分が大好きで大嫌いで
苦しくて
みんな死んじゃえばいいのに
みんな幸せになればいいのに
私の中で等価で
どっちでもいいかなって思ってニュースを眺める


自由詩 ニュース Copyright 日々野いずる 2024-03-03 19:45:33
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