鏡像(2)「藪の小道」
リリー

 「はじめまして。」
 こんな所で、突然
 自己紹介させてもらうアタシは
 サバトラ猫よ

 「サバトラ」というと品種のように聞こえるけど
 これは毛色の名称でね、鯖に似てるからなの
 アタシは雑種
 
 いつもアタシが仲間と情報交換する
 雑木林の土手の裏には大きな家があって
 そこの おばあさんがアタシを気に入ってくれて
 何故だか「鈴ちゃん」と呼ぶのよ
 だからアタシの名前は「鈴」にしておくわ

 この雑木林を抜けると高台になっていてね
 琵琶湖が一望できるのよ
 車道の向こう側に見える二階建ての大きな施設
 あれが社会福祉法人の養護老人ホームで
 隣にも施設が建っているわね

 どうして猫のアタシがそんな事まで知っているのかって?
 それは たまに庭先におばあさんがいると
 挨拶していく若い寮母さん(現在の介護福祉士に該当する)が
 いるからよ
 アタシのことも可愛がってくれるの
 彼女と、おばあさんの出逢いは昨年の秋

 それは次回、お話ししましょうか
 
 ほら、噂をすれば
 この竹薮と雑木の土手のわき道を
 こんな朝早くに 彼女が登ってくるわ
 今日は早出出勤なのね 
 寒いのに、ご苦労様

 では アタシも
 おばあさんの住う大きな家、離れの部屋の 
 中庭に行って朝食を待つことにするわ
 「またね。」
 
 


自由詩 鏡像(2)「藪の小道」 Copyright リリー 2024-03-03 12:41:15
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