雑文
TAT

トケマッチのニュースを見て思った。もしもプロのヤクザの仕業だとしたら凌ぎとしては二流だ。だがビジネスマンの発想としては一流だなと。件のニュースは。高級腕時計のオーナーが月額幾らかの報酬を受け取りトケマッチに時計を貸し出す。トケマッチはその高級腕時計をレンタルしたい人間に貸し出すというもの。まあシチュエーションは容易に想像はつく。高い時計を何本も持っている、そしてその時計を毎日腕に付ける訳ではない金持ち。と。ここぞというハレの日に一日だけ高級腕時計を付けてカマしたい庶民との間の橋渡しという訳だ。今回、その運営会社が倒れた。経営破綻し。連絡が取れないまま。高級腕時計が返却されないまま。中古販売市場にそれらの高級腕時計が流れた。という、それが今回のニュースの一連の骨子だ。阿呆な自称起業家の被害者連中が大勢インタビューに匿名で答えていた。邪推すればまあ、そもそもの最初からの計画的犯行にも見える。素晴らしいのは画期的かつ、流行りの『シェアリングエコノミー』路線にキッチリ乗れている点だ。表の稼業としてプレゼンするにしてもビジネスモデルとしてさぞや事業資金も借り易かろうと思う。他方、待ちが長い。割りに得られる金額の嵩が知れている。百万円の時計を五百本パクったとして五億だ。『回収』のターンに入れば閉店ガラガラの逃げ足の速さで勝負するのみなビジネス。五百本の時計を集めるのに数年かけて上がりが五億では儲けが薄い。まあ関東の方のヤクザの仕事だろうなと思った。しかし面白い。やってる事は単なる時計泥棒なのだ。いやはや全く面白いね。


散文(批評随筆小説等) 雑文 Copyright TAT 2024-02-28 23:53:16
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