擬態
まーつん

首の後ろ辺りから
広がっていく空白と

瞼の裏を掠め過ぎる
拳の記憶

喜びを道連れにして
悲しみが死んでいく

心が死を擬態するのは、宿主へのいたわり
仕組まれた機構に過ぎないとしても
毛布のように心地よいから
喜んで騙される

曳かれた猫、上下する肺
ヘッドライトに照らし出される
琥珀色の眼

死にかけの獣の
安上がりな連想

錆びかけた歯車、上下するピストン
軋みながら連動する、シャーシの中の部品

機械仕掛けの心の
安上がりな連想


自由詩 擬態 Copyright まーつん 2024-02-18 22:13:31
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