いつまで傷つかなきゃ、終われないの?
涙(ルイ)


100年後の未来
親にひどい目に遭わされてる子どもはいなくなっているだろうか
あいつ気に入らないからと ひどいいじめを受けてる子どもはいなくなっているだろうか
子どもにひどいことをしていることを 
その頃になれば 少しは自覚できていたりするだろうか

おそらく 子どもの数よりも高齢者の数の方が
あきらかに多くなっているだろう
いまだって介護の現場はひっ迫している
サービスを受けられるのは 金を持っている人間だけだ
100年後の未来
果たしてそれらは改善されているだろうか

夢も希望もないことを言ってしまえば
きっと何も変わらないだろう
子どもは相変わらず親の犠牲に晒され続けるし
いつの時代になったとしても 気に入らない人間というのはいるもので
いつだって弱者ばかりが割を食う世の中

令和のいま 何かと云えばセクハラだパワハラだと
世間を騒がせているのに
家庭で起こっていること
親が子供に対して行ってる 理不尽な暴力や暴言
脅迫めいた言葉で支配して 身動きを取れなくしている
学校や会社で気に入らないという それだけの理由で
無視から始まって 犯罪まがいの嫌がらせを繰り返す
受けてる側が何も云えないのをいいことに
それらは何ハラとも特に呼ばれることもなく
やがて悲しい事件に発展するまで 誰も見て見ぬふり

いまに始まったことではないんだ
もうずっと昔から
おそらく 人類が誕生したその頃からあったこと
そうして 昔は親が子どもに暴力・暴言を浴びせていても
しつけというひと言で片づけられて
誰もおかしいことと思いもしなかった
それが正しい行為だとさえ思われていた
きっといつの時代にもクズは存在していたんだ
ひどいことをひどいとも思わない人間たちの血が
連綿と引き継がれて いまがある
昨日今日始まったことじゃ 決してないということ
だから根絶するのが難しい
ある日テレビをつけてみれば
虐待されて幼い子どもが悲しい結末を迎えたとニュース
人々は憤慨する
なんて親がいるもんだ 
育てられないなら子どもなんか作るな
とっ捕まえて一生そこから出すな!
やがて報道もひと段落する
解決したんだ よかったよかった
そうしてひとつの事件が風化したころ
また同じような事件が起きる

あいつ気に入らないから無視ね
一斉にLINEグループにメール
教科書を真黒に塗りつぶす
靴を勝手に焼却慮に捨てる
体操着をビリビリに破く
トイレに行かせないようにする
ゲーム感覚でボールを躰にぶつける
万引きを強要
金銭を要求
会社ならひとりにだけ無理な仕事を押し付ける
手柄は横取り
上司に怒られるように裏から手を回す
会社の行事にひとりだけ誘われない

人間が人間と生きていくとき
そこには必ず相性というものが生じる
人間は自分と誰かを比べ
どっちが上とか下とか そんなことばかり考えてしまう生き物だ
それもいまに始まったことじゃない

それでも 昔は声を上げることもできなかったことが
ネットの普及により 声を上げることができるようになった
それについては良かったとは思う
密室で起こってることは こうして声にしていかないと
誰にも気づいてももらえないし
気づいてもらえたときには手遅れというのがほとんどだから

児童相談所はなにをしていた?
警察は? 近所の住人は?
担任は気づいていなかったのか?
学校の対応は?
大人になっていじめとか
本人にも問題があったんじゃないの?
人間とは 自分に関係のないことには
ここまで好き勝手に無神経でいられるもの

子どものころに親にひどい目に遭わされて
親が年をとって動けなくなれば 今度は介護
わがままは加速するばかりで
何をしてもしなくても文句
いっそ死んでくれたらと願ってしまったしてもおかしくない
高齢者施設も介護保険サービスもすべてはお金
お金のない人間に優しくしてくれるほど
世間は甘くない


100年後の未来
親にひどい目に遭わされてる子どもはいなくなっているだろうか
あいつ気に入らないからと 
ひどいいじめを受けてる子どもや大人はいなくなっているだろうか
介護の果てに疲れ果てて悲しい結末になんてなってやしないだろうか


残念だけど きっとなくならないんだろうな
人間は愚かだからいいと言った人もあったけれど
いい加減気づいていてもらいたい
あなたがされて辛かったことを
あなたが云われて傷ついたことを
自分の子どもにも同じようにしたら
子どもだってと同じように
辛いし傷つくんだということ
子どもはあなたの玩具なんかじゃ決してないということ


それでも自分は間違っていないというのなら
子どもなんて作れないように
いっそ去勢されてください
お前なんか産みたくなかったと
云われることほど辛いとはありませんから


どうか100年後の未来が
大人も子どもも
いまよりずっと生きやすい世の中であることを
辛いときに辛いと言える世の中に
助けてって言える世の中に
そうして そういう人たちを見て見ぬふりすることなく
ちゃんと声を拾い上げてくれる そんな世の中に
弱い者ばかりが泣き寝入りせざるを得ないような
そんな世の中にさせないで



100年前に生きた人間からの
心からの願いです







自由詩 いつまで傷つかなきゃ、終われないの? Copyright 涙(ルイ) 2024-02-18 16:47:11
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