あかね雲
リリー

 背中押してもらって
 もっと もっと、スニーカーのつま先が
 お空に近くなる
 ブランコ

 いつからだろう?

 ブランコ漕いで
 軽い眩暈の様な気分の悪さを
 感じてしまうように
 なったのは

 ああ、いつからだろう?
 鉄棒の逆上がりが
 苦しくなったのは

 のぼってみたいと思わなくなった
 ジャングルジム
 笑い合える友だちのいなくなった
 シーソー

 すべり台で一人座って
 眺め見れば
 遠のいてうつる
 あかね雲

 砂地跳ねて転がって来た
 サッカーボール
 手に取って
 笑い掛ける男の子へ投げ返す時、
 ふと 彷徨う
 ふしぎな臨界を
 


自由詩 あかね雲 Copyright リリー 2024-02-06 19:26:56
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