還らざる日々
レタス

グラスを傾けながら
あの頃を想う

何も持っていなくて

三本立てのリバイバル映画を観ては
涙ぐみ

午前零時閉店のクラッシック喫茶が終わるまで
バッハとチャイコフスキーをリクエスト
冷たい肩を抱きしめる

終電の箱の中は酒臭く
みなこうべを垂れて目蓋を閉じていた

アパートの四畳半には電気ストーブ
なかなか暖まらなくて
インスタントラーメンを啜っては
ウオッカをあお
ラジオの深夜放送を聞きながら眠り就く

さてと
今夜もグラスを傾けよう
明日を迎えるために



自由詩 還らざる日々 Copyright レタス 2024-01-30 23:05:19
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