うさぎとカケス
ただのみきや

大雪の日
山間の住宅地を車で抜けてゆく
止まったら動かなくなりそうな上り坂
アクセルを踏みこむ
対向車が来ないことを願いながら
暗い空 黒い樹々
水墨画の中に迷い込んだような──
その時一羽のカケスが視界をかすめ
雪をかぶった樹の間に消えた
右の目尻に色味が残る
あきらめて引き返す
干した夕日を肴に一杯やろうか
もう仕事は切り上げだ
こんな日に訪問営業なんてナマハゲじゃあるまいし
やまない雪 とまらない咳
うさぎのようにぴょんと跳ね
罠にかかったこのこころ
(また捕まっちゃったー)
懲りない男はいつまでも



                  (2024年1月24日)








自由詩 うさぎとカケス Copyright ただのみきや 2024-01-20 09:21:12
notebook Home 戻る