難破船
レタス

帆柱の帆布はんぷは風に散り
ボロボロになった海図を胸に
白骨化した船長は錆びた剣を掲げ
地獄から呻くようなかけ声でヨーソロー! と
かけ声を響かせた
白骨の水夫たちは深海魚のようにノロノロと甲板にうごめき
すでに底をついたラム酒を求め
歌いながら甲板を彷徨った

羅針盤と舵輪は朽ち果て
黄金郷を示すのはボロボロの海図だけで
出港から300年が経っている
いまはもう欲望の海に波もなく
船は月灯りに照らされ
青白く漂うだけだった



自由詩 難破船 Copyright レタス 2024-01-16 23:07:11
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