除夜の鐘
レタス

黒曜の空に
梵鐘をく音が満ちている
一年の煩悩を洗い流すように
来る年が平穏であるように
森羅万象に響いている

諸行無常しょぎょうむじょう (全ては変化するのだ)
是生滅法ぜしょうめっぽう (これは生じて滅することわりで)
生滅滅己しょうめつめつち (生滅を繰り返したのち)
寂滅為楽じゃくめついらく (やがて悟りの境地に至る)

万物はあてどなく彷徨いながら
メビウスの輪を歌いながら
歩いている

素粒子より微塵みじんな世界から
宇宙の果ての その果てまでも
すべては生命いのちを宿し
流転を繰り返す

悟りは遠いものでもなく
地獄も遠いものでもない

刹那に変転する己の胸中に隠されているのだ


自由詩 除夜の鐘 Copyright レタス 2023-12-31 22:52:56
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