冬のアダージョ
レタス

あの日

粉雪が降っていて
黒曜に閉ざされた狭い部屋

ふたり キャンドルを灯し

薄い毛布にくるまって
しがみつくように抱きしめたね

寒いかい…

ううん、大丈夫。

きみは痩せた猫のように
震えていた

冷たいクチビルをあわせ
青白い涙を
ひと粒 ふた粒 流したね

ぼくは透明になってしまい
きみに何もしてあげられなくて

ただ ふたり 抱き合うしかなかった

粉雪の夜

静かな曲が流れてきた

寒い夜


自由詩 冬のアダージョ Copyright レタス 2023-12-26 22:42:32
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