通勤
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道端の薔薇
朝の公園
焦げていく観葉植物
親切な店員
放り出したコントローラー

立ち上がり
二本の足で歩き
その道を信じて
何の為にかも
分からずに傷付けた人を
腕に抱き締めて

神様だけが見ている
頭のいい人達が
哲学や文学で
百年かけても解けなかった
愛を証明したい

不安になるのは
結局あなたのせいなのかな
確信をもって
間違えるわけには
もういかない
僕はもう
僕の話なんてまっぴらだ

酔っぱらいの嘔吐跡
ひとつひとつ
名前のあるオブジェクト
ちょっかい出してくる
全ての厄介な人達
ひかりを照らすひかり

ああ
世界は綺麗なところ
季節さえ知らない
鼠色の街
ここにしかない絶望が
僕達を地獄に縛り付けても

指先が
手を繋いだ記憶を覚えている
ずっと考えてた
あのひとの体温のこと
忘れられずに
いつも空を見てたんだと
不意にそう気付いた

仕立てのいいコート
似合わない笑顔
微笑む子供
雲の形は何にも見えない
右足で踏む
左足で踏む
翼を広げて
両足で
飛び立つ


自由詩 通勤 Copyright 303.com 2023-12-26 08:08:42
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