okaeri.com 61-70
AB(なかほど)

そのなだらかな 坂 の
おりても のぼっても やがて
おんぎゃあ って 聞こえる の 
 
 
 
誰もの昼を飲み込んで溶かして 初めて
夜というものになったのだということを
寝顔の君に
 
 
 
岬の先にある桜にはじめて側に寄ってみて
藤の蔓が強く絡まっているのを見ていたら
随分と頑張ってきたねと逆に言われてしまった
 
 
 
僕らは先生のことは案外好きだったのかもし
れない。それから先生、車の給油口を壊した
のは僕達じゃありません。
 
 
 
自分とこのシャワーの水圧と排水の音は
あまりにも間抜けていて
明日、田舎の母に電話しようと思った
 
 
 
祖母の家の仏壇には大きな菊紋の入った額縁
があり、フィリピン部隊で、と書いてある。
下のこどもがあれはなんだと聞いてくる。
 
 
 
目がさめて、ここはどこ?
と少しだけ考える時間が好き
もう帰れない場所へ連れてかれるような幸せ
 
 
 
躊躇する足もとに
おんなじたんぽぽが
ひとつ ふたつ 
 
 
 
なまぬるい詩を書こうと思います
それでひとりでも、どっかの誰かが
平和になればいいと思います
 
 
 
庭の草がすぐに伸びるのでとつぶやきながら
ついつい口にするのは母親の口癖
後で白い紙の上に書き連ねようかしら
そんなことより立ちくらみの予感
 
 
 

2023.12.23


自由詩 okaeri.com 61-70 Copyright AB(なかほど) 2023-12-23 16:21:07
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