喪中のひと
たま

ことしは喪中はがきが多い
きょう、八通目が届いた
古い友人
映さん、七三才
わたしの姉と同い年なのに

映さんの本名は、恵子だという
知らなかった
詩友とはペンネームでのお付き合いだから
こんなこともあるけれど
映さんはやっぱり映さんのまま
ずっとそのままでいい

被爆二世だったという
十数年、癌と戦いつづけて
憲法九条を守って
戦争はぜったいだめだと語りつづけて
この国を愛して
世界の平和を祈りつづけて
詩を書きつづけて

生きて
歩いて
またひとり
友が逝った

わたしはいつまで
生きるのだろうか

この国はいつまで
平和なのだろうか

詩の書き方さえ忘れたわたしに
平和を守る術はあるのだろうか

不安ばかりがよぎるけれど

生きて
歩いて

きょうも
生きて
歩いてと

古い友はいう










自由詩 喪中のひと Copyright たま 2023-12-08 11:13:34
notebook Home 戻る