踊っている
塔野夏子

踊っている
いびつな星の上で
バランスをとりながら
踊っている
踊っていないと
この星からこぼれ落ちるから
どこなのかわからないどこかへと


この星は歪でなかったという
だからもっと楽に
もっと美しく踊れたという
けれど
それはお伽話にすぎないともいう

踊っている
踊れば踊るほど
この星は歪になるともいう
それも
お伽話にすぎないのだろうか

踊っている
時々失いそうになるバランスを
どうにか取り戻しながら
けれど時々いっそ
どこなのかわからないどこかへと
こぼれ落ちてしまいたくなりながら


この星は歪でなかったと
それがお伽話にすぎなくても
過去への憧憬が
ふと未来へと反転することを
願ったりしながら
踊っている




自由詩 踊っている Copyright 塔野夏子 2023-12-05 09:43:55
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