決まり
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君の残した傷を眺める
開いて中を覗くと
夏の青空が見え
羽搏いてくかもめの群れ
君は海が好きだったね
独りごとで笑った

痛みがまだきちんと
機能していること
それ以外の方法で
君と繋がりたかった
見果てぬ夢なんて
俺は見ないよ、
醜さが身に沁みてる

別段何か欲しくもなくて
薬で記憶が飛んでる
それだけのことだ
朝になれば忘れてしまう
少なくとも
何かを傷付けることは
しない

自分のことがかわいそうで
涙が止まらなくなるんだ
誰も聞きすらしなかった
どんな風に生き延びてきたか
どんな風に愛してきたか
どんな風に騙してきたか
どんな風に自責に駆られたか

分かるかい
生かされることの辛さ
自分のいない世界
死ぬことさえ満足に許されない
求められることもない
ただそこにいて
息をしていろと言われる
必要最低限の生活

俺には人権なんかないんだろう


自由詩 決まり Copyright 303.com 2023-12-05 06:36:45
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