硝子を割って
暗合

透き通るように白い肌を薄く削ったらカラフルな内臓がみえました

先端から雲がもくもくまとわりついた飛行機がトマトの味がするように

右手の人差し指で僕から眠った星に地平線を引けば

左手でそれを握って振り回す子供を追いかけて

朝が来たら、海に燃える魚が飛び跳ねている(溺れてしまうから)

手紙を読んでください

 あなたはお元気ですか。

私の想定するあなたであるならば元気であるわけがないから

ヒーローは終わります暴走しないために

行き過ぎたやさしさは悪でしかないですね。燃やされますね。

手紙に同封した写真を見ないでください。

僕とあなたが横に並んでいる最後の写真です。はじまりの音がした気がして

それは故郷を去るときの汽笛の音でした

燃やしてください

燃えたら、煙で月を汚してください

窓に映るあなたを割ってください

あしたの朝日の名前は、もうそれでいい


自由詩 硝子を割って Copyright 暗合 2023-11-30 07:46:52
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