とあるわたし
たもつ



わたしの部屋にいた蝶々が
飛べない蝶々が
ある日、自分でドアを開けて出て行った

かわりにあなたが入ってきて
二人で話をした
楽しい話をたくさんした

けれどそれはきっと夢で
目が覚めると蝶々はまだ部屋にいて
あなたの姿はどこにもなかった

何を話したのか覚えていないし
あなたが誰なのかもわからない
窓を開けると羽が回復したのか
蝶々は飛んでいってしまった

外は雨が降り始めていて
部屋も、とあるわたしも、ゆっくりと
水に沈んでいく
すべてが溶けて消えた後には
蝶々やあなたが遊びに来られるような
綺麗なお花畑になれば良いと思った



自由詩 とあるわたし Copyright たもつ 2023-11-20 07:02:39
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