テーブルの上に眼鏡がある
隣に空き地がある
あの頃は雲がすべてだった
そして二人の黒板は溶けて消えた
　
　
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シャワーは壊れた
兄は一人で展開図を描いている
四季はおしゃべりをやめずに
新しいネジが生まれる
　
　
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制度が風に吹かれている
シマウマはどうしてだろう
秘密を守りながら
草原を走る、線香花火を咥えて
　
　
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鮭の影、一面の真昼
空の果てで名前を呼びあう
計量カップの中に入って
お互い背が伸びたねと笑う
　
　
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来年のことを言えば鬼が笑う
僕だって笑う
季節外れの桜が咲いた
失って、いつかまた届く
　
　
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廃屋、その先端
雨上がりの蒸した匂い
洗濯物を畳む音と仕草
掌だけで生きていけない
　
　
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校門の手触りが好きで
呼吸の仕方を忘れてしまった
四行で書かれた無人駅に
幼く雪が降り積もっている
　
　
　




（初出　R5.11.17 日本WEB詩人会）